会社の機関
会社の機関には、株主総会、取締役、取締役会などがありますが、会社のしくみを知る上で一番重要なのは、取締役会です。
なぜなら、取締役会を置くと、会社の重要な事項は、取締役会で決定することができ、株主はその決定にかかわることはできなくなります。取締役会がなければ、株主の出席する株主総会で重要な事項は決定します。この取締役会のない会社を「所有と経営の一致している会社」と呼び、取締役会のある会社を「所有と経営の一致していない会社」と呼んだりします。
世の中の会社は、ほとんど「所有と経営の一致している会社」です。つまり、零細企業または中小企業です。これらの会社は、規模が小さいゆえに働いている人が経営者です。家族経営の会社をイメージしてもらえばいいと思います。このような会社は、わざわざ取締役会を開かなくても、株主総会で事足ります。ですから、株式は、すべて譲渡制限付き株式です。公開株式にしてしまうと、外部の者が入ることになるので、すべてを説明しなければならなくなります。非常に面倒です。この、発行している株式がすべて譲渡制限付き株式である会社を、会社法では、「公開会社でない会社」といいます。
では、「所有と経営の一致していない会社」は、どういう会社でしょうか?この会社は、取締役会を設置しています。取締役会を設置するには、取締役が3人以上いなければなりません。ある程度の規模の会社です。その会社の取締役会で会社の重要な事項が決定されるので、取締役は経営のプロです。もっとも、その会社の従業員であった者がほとんどですが、最近は社外取締役も導入されていて、他の会社で経営の実績を残した人が登用されることもあります。しかし、取締役だけが出席する会議で重要事項が決定されるわけですから、株主としては、その監視をする者が必要になります。そのため、その会社が公開会社(発行するすべての株式が公開株である会社)であれば、監査役(会計の監査をしたり、取締役および会計参与の職務について監査する)を設置しなければならず、公開会社でない会社ならば、監査役または会計参与(取締役と共に決算書の作成をする)を設置する必要があります。また、公開会社で大会社(前期の決算で資本金が5億円以上であるか負債の部の合計額が200億円以上である会社)であれば、監査役会および会計監査人を置かなければなりません。公開会社でない大会社は、監査役および会計監査人(決算書類を監査する)を置かなければなりません。監査役会も、監査役が3人以上必要になります。
こうしてみてくると、取締役会を置く会社というのは、取締役に権限が集まり、取締役のほかにも置く必要がある。監査役、会計参与も役員です。重要なポストです。会計監査人は、役員ではないですが、会社法上、役員等とあれば入ります。
2016/12/23